日が過ぎるのも早いこと。11月も後半になってしまいました。
あと一か月もするとクリ〇マスを迎え、そこから一週間を過ぎると正月ですね。
さて、みなさんは正月はどう過ごされていましたか?僕はアレを見に出かけていました。
アレ、とは???初日の出?違います。新春シャンションショー?それは言いにくいやつです。
箱根駅伝です。
そうです箱根駅伝です。恐らく皆さんにとっては親や親戚が見てるけど、何が面白いのかわからない……といったようなものでしょうか。しかも自分の大学は出てないし……。早稲田はいる、青山学院がいる、明治もいる、中央も法政もいるのに上智はいない。
上智はいない??
否、今回は上智がいるぞ!!!!上智生が箱根駅伝を走るかもしれないぞ!!!!
今回の箱根駅伝では、「関東学生連合」という合同チームのメンバーに上智生が選出されたのです。
本戦での出走を果たせば、上智史上初の箱根ランナーとなります。
その方は、こちら。
外山正一郎 選手です。
プロフィール
外山正一郎 そとやま・しょういちろう
理工学部物質生命理工学科4年
陸上競技部長距離ブロック
第95回箱根駅伝予選会にて、1時間5分5秒(136位)の成績を残し、関東学生連合チームに選出
今回は、外山選手と今年度長距離のブロック長を務められた山下選手にお話を伺ってきました!!
学生連合って?
インタビューに入る前に箱根駅伝と、関東学生連合チームとはなんぞやということをサクッと書いておきます。
箱根駅伝は、1人当たり20km強を初日5人、2日目5人の計10人でつないで計217.1kmの競走をする大会です。毎年1/2,1/3の2日間に行われていて、今回はなんと第95回という伝統があります。
出場するのは22大学と、関東学生連合の計23チームです。
今回、外山選手は関東学生連合の選手として選出されました。
関東学生連合を3つのポイントで解説すると……。
①箱根駅伝に出られるのは、前年度成績優秀校10校+予選会上位12校
②予選会は毎年10月にハーフマラソン(約21km)で競われ、各大学10人の合計タイムで大学の順位をつける。
③予選会敗退校の中から、個人タイムが速かった16人(※)を選抜し、関東学生連合結成!!
※これにはもう少し細かいルールがありますが、気になる方はウィキペディアでチェックしてください(笑)。
要は、チームとしては出場できないけど、君はめちゃくちゃ速いから合同チームで出なよ!!という制度です。さて、インタビューをご覧ください!
関東学生連合選出を受けて
──まずは、学生連合選出おめでとうございます。選ばれたときの率直な心境はどうでしたか?
外山 嬉しいというのはもちろんですけど、ほっとしているという気持ちの方が大きいですね。ここまで色々な人の力を借りてやってきたので、そういった方たちに恩返しができてほっとしています。
──周囲というのはどのような人が思い浮かびますか?
外山 まずは親ですね。自分が留年をしていることもあって、迷惑をかけてきてしまったなと思います。あとは陸上部のOBOGの方たちからも過去にないくらいの支援をいただいて、失敗はできないと思っていました。もう卒業してしまったんですけど僕の同期も応援してくれていましたし、もちろん一緒に走ったチームメイトもです。
──重圧はすごかったんじゃないですか?
外山 僕はあまりプレッシャーを感じるタイプではないんですけど、それでも今年は「失敗できないな」と感じていました。正直不安もありました。
──今年の予選会に懸ける思いはそれまでとは違ったんですか?
外山 自分の中で思いが変わったのは去年からです。自分は4年生を2回やっていて(苦笑)、今年も4年で去年も4年なんですけど、3年の時までは箱根を狙えるようなレベルではなかったです。なので、それまでは「自己ベストを出したい」とか、「チームに貢献したい」という思いで走っていました。それに比べて、去年と今年は箱根に行きたいという思いがあったのでこの2年間に懸ける思いは強かったです。
特に去年は、中学からの知り合いが箱根を走ったりしていて「一緒に箱根を走りたい」という思いがありました。
──ちなみに箱根に出られた知り合いとは?
前回の箱根で早稲田大学のキャプテンをやっていた安井雄一(現:トヨタ自動車)君ですね。中学時代に同じ市で一緒に練習したり、大会に出たりしていました。常に自分の前を走っていたあこがれの選手だったので、彼の存在は自分の中でも大きかったです。
──今回の結果を受けて安井選手には連絡されましたか?
向こうから連絡が来て驚いたよと言ってもらえました。
予選会に出るのも簡単じゃないんです
──今年部をまとめてこられた山下選手にお伺いしますが、箱根の予選会に出るのも簡単ではないと聞いたのですが。
山下 箱根の予選会というのは、10人が基準記録(10000m34分)を切らないと出場できないんですけど、去年まではあった5000mの標準記録が今年は廃止されてしまったんですよ。5000mの記録の方が難易度は低かったのと、10000mはそんなにポンポン走れるものではないので標準を切るのが難しくなりました。去年から今年で予選会出場校も10校ほど減っています。
──長距離を専門にされている方は何人ですか?
13人ですね。
──結構ギリギリですね……
山下 でも、上智が特別少ないってわけでもないんです。スポーツ推薦をやっていない大学の中では普通だと思います。
──スポーツ推薦をやっていない大学はどれくらい箱根の予選会に出られるものなんですか?
山下 10校いるかいないかくらいじゃないですかね…… 40校近く予選に出ている中30校近くは推薦をとっている大学だと思います。
やはりうちのような推薦のない大学は毎年4年生が抜けると一気に人がいなくなるわけなので毎年どこも苦労していますね。なんとか今年は1年生で標準を切ってくれた中距離の子がいたので彼の貢献は大きかったです。
箱根に出るなんて一度も考えたことがなかった
──陸上はいつから始めましたか?
外山 小学生の時にクラブ活動があってそれをカウントするなら一応小学生からになりますが、中学校の時は最初は野球部でした。最初の1年間は野球をやっていたんですけど、練習でランニングをしているときに、駅伝部の監督に「朝練だけでもいいから駅伝部で走らない?」と誘われたのが陸上を本格的に始めたきっかけですね。
──上智に入学した時には、陸上を続けると決めていましたか?
外山 ん~微妙ですね。一応陸上部には入ったんですけどあんまりやる気はなかったです。高校が割と厳しめのところで、陸上に関してはやり切った気持ちもあったので「もう高校で陸上で終わりかな」とも思ってました。なので最初は陸上とオーランサークルを兼サーしてましたね(笑)。結構サークルの方にも顔を出してたんですけど、当時の3年生の先輩に「君だったら頑張れば関東インカレに行けるよ」ってことを言われたのがきっかけで「陸上やってもいいかな…」と思えましたね。なので、入学当初から陸上をがっつりやろうという気持ちはなかったですね。
──まさか、この取材でオーランという言葉が出てくるとは思いませんでした(笑)。
外山 まあ、1年の最初の1,2か月の話ですけどね(笑)。
──中学・高校時代の自分は、今の状況を想像できると思いますか?
外山 ホントに陸上を始めたばかりの時に、自分の実力もわかっていなので「箱根走る」とは言ってましたけど、ほとんど「ウルトラマンになりたい!」っていうのと同じノリですね(笑)。それを除けば、箱根出たいなんて一度も思ったことはなかったですね。
──そういった箱根は夢のまた夢といった状態から、現実的になってきたのはいつごろからなんでしょうか。
外山 去年の夏ですかね。去年の予選会に懸ける思いが本当に強くて、去年の夏は正直今年より頑張りました。1か月で750kmくらい走りました。この時に築いた土台が今の実力を支えてくれていると思います。
──そこでググっと速くなったという感じですか?
外山 正直その1か月で速くなったかと言われると少し違うんですが、その1か月間を乗り切ったことで気持ちの面ですごく強くなったと思いますね。
環境のせいにはしたくない
──先ほどはソフィア通りで走っていたと思うんですけど、上智では週何回練習していますか?
外山 うちは火・木・土が全体の活動日で、そのうち火・土はほかのグラウンドで走ります。木曜日が上智での練習日なんですけど、それ以外の自主練の日も自分はこのあたりで走ることが多いですね。皇居まで行って走ったりします。正直ここは環境はいいとは言えないと思います。
──こういった環境のなか練習するうえで心掛けていることとかはありますか?
外山 できるだけ環境のせいにしたくない、という思いはありますね。あとは、活用できるものは活用するということを意識しています。他大のグラウンドで練習させてもらったり、今回学生連合でチームメイトになる東大の近藤君と一緒に練習することもありますね。自分の大学だけではなくて、他大学とのつながりも大事にしないといけないと思って取り組んでいました。
──箱根本戦まで2か月を切っていますが、練習はそれまでから変えたりしていますか?
外山 やるべきことは変わらないので、箱根本戦やその選考会(※)が近いからと言ってとりわけ変えるというよりは、やるべきことをひとつひとつやって本番に備えるというイメージでいます。
※学生連合に選ばれた16名から実際に箱根駅伝の本戦に出走する10人を決めるチーム内の選考会が存在する。
──選考会もめちゃめちゃ大事ですもんね…
外山 やるべきことをやったうえで、ダメだったとしても自分の中では後悔があるわけではないですね。今までやるべきことはやってきたと思っていますし、これからも積み重ねていくつもりなので、その上での結果ならどんな結果でも受け止めます。
──今の段階でやるべきことはやっていると言い切れるのはすごいですね。
外山 もちろん足らない部分はあるとは思うんですけど、自分の中ではしっかりやってきたと思ってますし、現段階で十分納得いく結果は得られたと思っています。もし出走が叶わなかったとしても、自分の中に後悔は残らないんじゃないかという気がしています。
──山下さんから見て、外山選手のこういう姿勢はどう映ってますか?
山下 練習は各自の判断に任せることが多いですけど、外山さんは自分の現状を見極めて練習することが上手いと感じますね。
──結局自分自身との対話したうえでの練習が大事ということですね。
外山 怪我をしてしまうと、どんなに練習していても結果は出ないので、引くところは引いて、攻めるところは攻めるというのが大事だと思います。
──上智大学に指導者はいますか?
外山 監督さんとコーチはいらっしゃいますが、頻繁に顔を出すというわけではないですね。アドバイスをいただくこともあるんですけど、なかなかそういう機会もないというのも事実なので、自分で考えるところは考えて、コーチを活用できるところは活用して、という感じですね。
強豪校だとずっと監督がついて見ているんですが、上智ではそれとはかけ離れた状態ですね。ただ、これも上智の良い面でもあり悪い面でもあると思うんです。良い面は、自分で考えて練習できることです。言われた練習をこなすだけではなくて、自分で練習を組み立てる楽しさもあると思います。ただ、週3回しか練習がないのでやる人とやらない人と出てきてしまい、チーム内で格差が生まれやすいなどの悪い面もあると思います。
──何か陸上に対して、大切にしている考え方はありますか?
外山 陸上に対する思いって人それぞれあると思うんですけど、これが正解というものはないと思っています。「楽しみたい」という思いでやるのもいいですし、「結果を残したい」という思いでやるのもいいと思います。人それぞれにそれぞれの陸上があると思うので、自分の考えを人に押し付けるというよりは、その人自身がうまくいっていれば、それが正しいんじゃないかと感じています。自分の考えに沿って陸上をやって、うまくいかなければそこで考えを改めればいいし、うまくいっているのならそのままでいいと思います。なので、万人に共通する正解というのは、陸上に関してはないんじゃないのかなと思います。
──自分の考えた道を進むのが大事ってことですね。
外山 大事ですね。それでもしうまく行かなかったら、その時に悩めばいいと思います。
次ページ:外山選手が箱根駅伝の舞台で伝えたい思いとは?!
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