愛月撤灯――何かに対する偏った愛を意味する言葉。昔、中国の詩人が月の光があまりに美しかったため、宴会の席の灯燭の明かりを全て消したことに由来しています。
それくらい好きで、愛している趣味をひたすら語る。そんな連載です。
「児童文学は子供向けの本って意味じゃなくて、子供”も”読める本だと思ってるの。だから大人が読んだって全然いいと思うし、むしろ大人こそ読むべき」
名言ですよね!誰の言葉だろう?……私の言葉です。名言っていうのはふざけましたが、でも、本気で思ってます。
さてさて、みなさんこんにちは、castleです。文学部国文学科、2年生になりました!ついに先輩か……感無量です。
文学部、しかも国文学科というと、よく言われることがあります。
「本好きなんだね~!」「どんなの読むの?文豪とか?」
皆さん、国文学科だったら芥川龍之介や太宰治、あるいは源氏物語や百人一首をたしなむんだろうな~って思っていませんか?もちろん、そんな人もたくさんいます。でも、そうじゃない人もいます。私みたいな。(違う、これから読もうって思ってるんですよ。本当に。)
じゃあ、そうじゃない私が普段どんな本を読んでいるかというと……タイトルの通り、児童文学です!
【私が児童文学を好きな理由】
①明るい気持ちになれるから
児童文学といえば成長!友情!魔法!ポジティブなものばかりですね。たいてい主人公は明るくて元気、おとなしめな子でもラストには笑顔が増えていたりします。そんな作品を読めば、色んなことから解放されるんです。疲れていても、「明日から頑張ろう!」と思えます。だから、私に元気がなかったら児童文学を差し入れてください(?)
②頭にすっと入ってくるから
表紙はかわいいイラストで、挿絵が入っていたりもしますよね。字は大きめだし、ひらがなが多い。なんなら読みがなまでふってくれちゃう。子供向けだから、難しい言葉が使われていることもほとんどありません。頭に「スキマ」が無くたって読めちゃうんです。
表紙はかわいいイラストで……と書きましたが、私にとって岩波少年文庫は別格でした。ちょっと文字が小さめで、イラストも大人っぽくて、フォントも高級感がある感じなんですよね。背伸びをしているような。片っ端から読んでみたいな~と思っていたことを思い出します。結局読みませんでしたが。どうやら400作品ぐらいあるみたいです。
③時に気付かされるから
児童文学ね、名言が多いんですよ……。子供に伝えたいことを書いているから、それもそうか、って感じなんですけど。「わ~~やっぱり大事なことってそうだよね!」とか思うんです。実際の名言は各作品と共に紹介しますね。あと、作者がたくさん名言を遺していることも。言葉ってやっぱり偉大です。
【イチオシ児童文学3選】
ここからは私の元気の源、3つの作品を紹介していきます!なんならこれを書きたいがために、この記事を書いたと言っても過言ではない。
〈赤毛のアン〉
想像力が豊かで、おしゃべり、前向きな赤毛の少女・アンの成長物語。カナダのプリンスエドワード島が舞台です。いつか絶対聖地巡礼してやる。
アンは赤ちゃんの時に両親を亡くし、辛い過去を持ちますが、とにかく明るいです。がんばり屋さんで(学校の勉強をすごく頑張るんですよ、優等生!)、周りへの感謝を忘れない。応援したくなるヒロインなんです。おしゃべりすぎて鬱陶しい……と思う読者もいるみたいですが、巻を追うごとに落ち着いた大人の女性になっていきます。
私は辛い時に空想で自分を励ますところがあるんですが、完全にこの本の影響です。いくらか慰められます。
そして、さっき私は「名言が多い」と言いました。赤毛のアン(とそのシリーズ)はびっくりするぐらい名言が出てきます。イチオシはこれ。
「私はここで生きることに最善をつくすわ。そうすれば、いつかきっと最大の収穫が自分にかえってくると思うの。」
環境を言い訳にせず、努力を続ける。実にアンらしい言葉です。私も頑張ろう……。
「ユーモアは人生の饗宴においての最も風味に富んだ調味料である。自分の失敗を笑い、そしてそこより学べ。自分の苦労を笑い草にしつつ、それから勇気をかき集めよ。」
こちらは3巻目『アンの愛情』に出てきます。冗談を言えば気が楽になるし、失敗しても「ネタにしよう!」と思える回数が増えたのはこの言葉とアリオーゾのおかげです。高校時代に物理で3点を取ったこととかね。今となってはネタでしかない。
〈若草物語〉
こちらは南北戦争中のアメリカが舞台です。作家志望で男勝りな次女のジョーが主人公。私の推しは彼女!夢に向かって突き進む姿がとってもかっこいい。
他は、美人で家庭的な長女・メグ、病弱だけど心優しく音楽を愛する三女・ベス、ちょっとわがままで絵の上手な四女・エイミーがいて四姉妹です。個性豊かな掛け合いがとっても楽しい。そして、もちろんこの作品もそれぞれ成長していきます。気づいたら「こんなに成長して……!」と親戚のおばちゃん目線で読んでいることもあります。
2020年には映画化もされました。エマ・ワトソンが長女のメグを演じたといえば伝わるでしょうか?ネトフリで何度も見ていたのですが、春休みに見ようと思ったら配信終了していました。ショックすぎる……。
若草物語の名言は2つ。
「希望を持って忙しく」
「雲の向こうはいつも青空」
雲の向こうはいつも青空、英語では “There is always light behind the clouds.” 昔、スマホケースを買い替えようと思っていたら、この言葉が書いてあるものを見つけて即購入したことがあります。運命かと思った。
それから、オルコットのこの言葉も好きです。
「わたしは嵐を恐れない。航海の仕方を学んでいるから」
カ、カッコいい~!!イケメンな性格のジョーのモデルは作者自身ですが、その通りさっぱりした性格だったんだろうな、と伺えますね。
この赤毛のアン・若草物語は、好きすぎて原書を買いました。家に置いて、表紙を見つめて満足しています。あの、外を見ているだけで幸せなんです(読めよ)
〈魔女の宅急便〉
海外児童文学が続きましたが、もちろん日本のものだって大好きです!特にこの『魔女の宅急便』。
13歳の少女・キキが海辺の街コリコで魔女の修行をするお話です。キキの魔法は箒で空を飛ぶ、それだけなので、それを活かして宅急便を始めます。
幼稚園の時に夢中になって読んでいました。おかげで、今でも箒を見たらまたがずにはいられないし、黒いワンピースにも惹かれます。実際に今年の春夏用で買っちゃったし。卒業後の進路、魔女とか無理かなあ。無理だよなあ。
ともかく、この本がなければ、私が児童文学を愛することもなかったでしょう。原点です。
まあ、入りは映画なのですが……。原作は言葉が優しくて優しくて、染みます。太陽のことを「お日さま」って表現していたりだとか。風邪のときのうどんみたいなものです。それに、猫と会話できるなんてロマンですよね。(実際に会話しているのか、という議論は置いておいて……)
そういえば、原作のキキは髪が長いんですよ?知ってました?(ドヤ顔)
今年の11月頃には、江戸川区に「江戸川区角野栄子児童文学館」ができるらしいです。誰か一緒に行こう……。一人でも行くけど、語り合いながら回りたい。
【他にハマったもの】
一作一作語っていくと、もうとんでもないことになるので、以下はタイトルを並べていきます。皆さんの好きなものもありますか?あるよね、絶対あると思う。
わかったさん、こまったさんシリーズ/モモ/ハリー・ポッターシリーズ/はてしない物語/五年霊組こわいもの係(こういう角川つばさ文庫のシリーズ、みんな読んでたよね?)/エルマーのぼうけん/マジック・ツリーハウス/ドリトル先生/動物と話せる少女リリアーネ/かいけつゾロリ/五分後に意外な結末/ぼくらの七日間戦争/チョコレート工場の秘密/なんでも魔女商会/クレヨン王国
私が読んでいたもの、という視点なのでちょっと偏りはあるけれど、ご愛嬌ご愛嬌。
いやー、やっぱり名作ばかりですね。
【最後に】
こうやって語り尽くしてきましたが。
何が言いたかったのかなっていうと、結局「いつ読んだって児童文学は最高!」ってことなんです。
忙しい現代社会で忘れてしまう大切なことを思い出させてくれる、そんな本の数々。
子供向けだなんて侮っちゃいけません。
逆に、「全然読んでなかったなあ」って人は、今から手にとってみてほしいです。きっと、素敵な本との出会いがあるはず。
私はこれを書き終えたら読もうと思います。今日の気分は赤毛のアンか、若草物語か。どっちかだな。でもやっぱり、読むなら日本語かなあ。
おしまい(←こういうのが付くのも児童文学ならでは。なんかいいよね)
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