チョコレート界に新しい波が来た!
お菓子市場で最大規模を誇り、年間売り上げは5000億円を軽々超える。まさにキング・オブ・スイーツ、それがチョコレート。
そんなチョコレート界に現れた黒船、Bean to Barをご存知だろうか。
なにかと話題になった「明治ザ・チョコレート」もBean to Barだ。
引用:meiji THE Chocolate(明治 ザ・チョコレート)株式会社明治
Bean to Barとは、ヨーロッパではじわじわと人気に火がつきだした、新しい製法のチョコレート!
チョコレート店がカカオの仕入れ、焙煎、製造までをすべて一貫して行うのが特徴。Bean(カカオ豆) to Bar(板チョコ)ということだ。そして、カカオの産地や風味に応じて、焙煎の仕方、製造中の温度などを変えているのである。
つまり作り手のこだわりがギュッとつまったチョコレートのことなのだ!
Bean to Bar、作ってみたくない?
このBean to Bar、実は上智でチョコレート作り体験のワークショップが開催されている。
主催:本当のガーナチョコレートを作るプロジェクト(公式Facebookはこちら)。
主催団体「本当のガーナチョコレートを作るプロジェクト」の創設者の一人は、上智大学法学部卒の野呂謙友さん。野呂さんはこのプロジェクトの活動が評価され、2014年度に学長奨励賞を受賞した。
わたしたちが目指すチョコレートは、ALL MADE IN GHANAと現地の農家の人達に還元されるチョコレート。 これらが満たされたチョコが出来たとき、きっとガーナのカカオ豆に新しい光が差し込むと信じてー
私たちはプロジェクトの活動を通して、ALL MADE IN GHANAチョコレートの魅力を届けていきたいと思います。 (公式Facebookより)
「本当のガーナチョコレートを作るプロジェクト」はこんなことをしている!
①チョコレート作り体験会の開催
上智大学の他、全国各地で開催中。
JICA主催グローバルフェスタにて
チョコの原料といえばカカオ。日本に輸入されるカカオの約80%はガーナ産のものだ。しかし実はガーナの子どもたちはチョコレートの味を知らないのである。そんなガーナの子どもたちのために、ガーナでも体験会を行っている。
ガーナでの体験会の様子
都市部と地方の経済格差が激しいガーナ。貧しい暮らしを送るカカオ農家とその子どもたちの現状を知ってもらうことも重要な活動だ。
②教育支援
Bean to Barチョコレート作りのワークショップで得た収益をもとに、ガーナで教育支援をしている。
プロジェクトのメンバーと、支援しているジョン君(最前列右)とその家族
ジョン君は村で一番賢いのに、家が貧しいため進学を断念。だがプロジェクトのおかげで現在は大学で勉強をすることができている。
アリオーゾがワークショップに潜入!
10月某日に開催された第2回ワークショップに行ってみた。
大盛況のワークショップ!
文理問わず様々な学部から学生が集まっていた。初対面でも、チョコレート作りを通して仲良くなれるのがこのワークショップの魅力の一つ!
これがカカオ豆だ!
サイズはアーモンドより少し大きいくらい。これと言って特徴が無いと思っていたら…
実はカカオって木の幹に直接実をつけるんです!!それにカラフルだし結構大きい。このカカオの実の中にあるのがカカオ豆だ。
カカオ豆の皮を取り除くとこんな感じ。この皮むき、めちゃくちゃ大変。
キレイにはがれてくれないし、固い皮が指と爪の間に入ってくる。痛い。ずっとチクチク刺されてるみたいで地味に痛い。痛い痛い。
食い意地を発揮したアリオーゾ取材班はむいた豆を食べてみた。
……苦い。(本当にそれだけ)。
しかし、香りは強い。香ばしい香りが始めに来るが、後からチョコレートのあの香りがふわっと来る。
カカオを砕く!
手分けしてむいた豆を集めて…フードプロセッサーに投入!スイッチオン!
ガガガガガガガガガガガガガガガガッッッ
ゴゴゴゴゴゴゴゴオオオオオオオオォォォォォッッ
ひたすら砕いていくと、底のほうに変化が!何かたまってきてる。これはカカオ豆に含まれる油分、カカオバターだそう。
一度止めて開けてみるとこんな感じ。ただ砕いているだけなのに、もったりした感じがある。
驚愕した砂糖の量
ここで砂糖を投入!
砕いたカカオ豆の上に築かれた白い山…
って、砂糖多くない!?
カカオ70%のチョコレートを作るために、カカオ豆約700gに対し、砂糖300g強を加えていた。あまりの砂糖の量の多さに参加者の方々から驚きの声が。
チョコレートになってきた!
その後、フードプロセッサーを再開。待つこと約20分。
キタ!コレコレ!よく見る溶けたチョコレートだよねコレ!!!
豆を粉砕するだけでペースト状になるなんてすごい!!チョコレートって非常にシンプルな工程でできているのだと実感。
ここからはチョコレートをスプーンで型につめていく。
~冷凍庫でしばし冷却~
”本物のチョコレート”とご対面
固まったら型から出していく。まずはラップをオープン!
デデーーン!
そして型から取り出していくと
うわーーーちゃんとしたチョコレートだ!!
実食。
いよいよ試食!いただきます!
アリオーゾ部員・acts:パクっ。モグモグモグモグ…
美味しい!
味はかなりビターだが、苦さの中にカカオ豆の香ばしさが感じられ、鼻から香りが抜けていく!この香りは市販じゃ味わったことがない。とっても美味!
舌触りはカカオ豆がシャリっとしていて、超細かく砕いたクランチチョコレートを食べているような不思議な感覚。手作り感がある素朴な食感だ。
今回はガーナ産のチョコレートの他に、ベトナム産のチョコレートが用意されていたので、
さっそく味比べタイム!
acts:パクリ。モグモグモグモグ
なんじゃこりゃーーーーっ!!!!
チョコレートなのにフルーツヨーグルトの味がする!!なんで!!でも美味しい!!!
ベトナム産のカカオの特徴は、香り高いフルーティーさと、独特な酸味。ガーナ産のものに比べ苦味が控えめなように感じた。どちらかというと女子向けだろう。ガーナ産の方が馴染みのある味だった。
2つのチョコレートは、カカオの種類以外は製法・砂糖の量などをすべて同じにして作ったそう。こんなにも味の違いを出せるカカオ、恐るべし!もっと違う種類を食べてみたい!
Bean to Bar専門店ってこんなところ
そう思ったので行ってきてしまった。Bean to Barの専門店!
今回は渋谷区富ヶ谷に本店を構えるMinimalにお邪魔してきた!
外観から漂うスタイリッシュでおしゃれな感じ。Minimalの公式HPはこちらから
お店の扉を開けた瞬間、まず驚いたのはその香り!!
お店中がカカオの香ばしい香りに包まれていてとても癒された。
お店の中の様子。木目の柔らかさとモルタルの固さが対照的でかっこいい
なんでMinimalっていう名前なの?
このお店、チョコレート売ってるんだよね…?おしゃれ過ぎないか?
と、身構えていると、お店の方が登場。
田淵:よろしくお願いします。田淵です。では早速試食しませんか?
そう言って田淵さんはいくつかのチョコレートを並べ始めた。
試食用にカットされたチョコレートが小ぶりのグラスに入っている。
お店の名前は“最小限”という意味の「Minimal」。その名の通り、カカオと砂糖しか使ってない。
田淵:素材を活かすためです。それぞれのカカオが持つ個性あふれる香り、味を追求したチョコレートをお客様に楽しんでもらいたいんです。
なるほど。本来カカオは土地、気候、栽培法、発酵法などによって味が大きく変わるもの。その特性を最大限引き出すために、従来のチョコレート用の粉砕機は使わず調理器具で「カカオからチョコレートを調理」しているそうだ。
試食してみる。
田淵さんが出してくれたのは以下の4種類。
①NUTTY CHOCOLATY…コロンビア・トマコ産
②FRUITY BERRY-LIKE…ベトナム産
③FRUITY BERRY-LIKE…コロンビア・アルアコ産
④SAVORY HERBAL…トリニダード・トバゴ産
取材なのにたくさん出してくれる田淵さん、太っ腹だ!!
と思っていたら、これが普通だそう。お客様に味の差を理解してもらったうえで買っていただきたい、とのことから、試食をたくさんしていただいているのだとか。
では4種類のチョコレートの食レポをどうぞ!
まずはこちら。コロンビア・トマコのチョコレート。
ワークショップで食べたガーナのチョコレートに近い味。スタンダードだから食べやすい味かもしれない。
続いてはベトナムのチョコレート。
FRUITYと謳っているだけあって、香りが甘酸っぱい果物のよう。キイチゴ、フランボワーズといった小さめのベリー系の味がし、食べるだけで元気が出そうだ。女性人気が高い商品。
お次はコロンビア・アルアコのチョコレート。
②と同じFRUITY BERRY-LIKEだが、コロンビアのはフルーツというより花のような優しい香りがただよう。グレープフルーツ、オレンジ、白ブドウのようなすっきりとした酸味がある。
最後はこちら、トリニダード・トバゴのチョコレート。
森や植物のような、さわやかな香りが鼻を抜ける。酸味がそれほど強くないので男性が好みそうな味な気がする。
ちなみに筆者・高村は④のトリニダード・トバゴのチョコレートがお気に入り。でも4種類とも味が全く違っていて、今までのチョコレートに対するイメージが大きく変わった。
Minimalのチョコレートは、世界最高峰のチョコレートのコンペ・International Chocolate Awardsにて金賞を受賞している。世界に認められた味ということだ!その上、日本人での金賞受賞はMinimalの他に2人しかいない。すごいぞ、Minimal…!
味以外にもこだわる
チョコレートはこんな形。シチュエーションに合わせて好みの形にカットして食べることができる。
田淵:ワインと一緒に楽しむなら、小さめのキューブ状にカットしてつまむといいですよ。
ワインを片手にチョコレート。なんだかすごく大人な感じだ…!
お酒とのペアリングにチョコレートがぴったりだそうなので、お酒好き大歓迎!!とのこと。
もう一つのこだわりポイントは、パッケージ。
「グッドデザイン賞ベスト100」に選出されたシンプルなパッケージについているカードをひっくり返すと、チョコレートの情報が記載されている。
田淵:パッケージは商品とお客様をつなぐプラットホームだと思ってます。カードの部分はワインのエチケットをイメージしているので、食べながら読んで楽しんでもらいたいですね。
みんながHAPPYになるBean to Barへ
田淵:Bean to Barはチョコレート生産者、カカオ農家がwin-winの関係になり、相互的に質の向上を目指せるものなんです。
現在のカカオ農家は、カカオの質にこだわってこなかったことが多いし、収入も少ない。ですがチョコレート店である僕たちが現地へ足を運んで、品質に応じて値付けをして、品質をともに向上させられればカカオ農家の処遇改善につながります。
お店の準備をする田淵さん
僕たちにとっては、農家さんと協力してチョコレートを作れるようになりますし、「ココの農家さんの豆を使いたい!」と指名することできるようになります。
農家さんにとっては、チョコレート店とそのお客様からフィードバックが来るので自分のカカオに誇りを持てるようになりますよね。そうなると、もっと生産したくなる、もっと質を高めたくなる…と、いいサイクルができると思いませんか。
食べ比べセットも売っている。
いまの時代って、コンビニのおにぎりは定価。いらなかったら捨てる。誰がどう作ったか分からない。どんなことでも「対岸の火事」、他人事なんです。
そうではなくて、こだわりのあるものを使う。生産者に感謝する。他人事ではなく、自分事にする。生産者と消費者がお互いをおもんばかる。こういうことを大事にしていきたいんです。そうすれば、他のことに気が回るし、人生が豊かになって色が出てくると思います。
Bean to Barは始まってまだ10~15年しか経っていない新しい取り組みだ。チョコレートにのせた田淵さんの熱いこだわりが、今後ますます多くの人の心に届いてほしい。
おわりに
Bean to Barに関して2つの事業をご紹介した。どちらもカカオに対する情熱が伝わってきて、何かを極めることって素晴らしいことだと思った。成り行きに任せてしまいがちだが、今一度自分の好きなこと・こだわりを見つめ直し、日々を送ってみてはどうだろうか。
最後に取材にご協力してくださった本当のガーナチョコレートを作るプロジェクトのスタッフのみなさん、そしてMinimalの田淵さん、ありがとうございました。
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