『中国嫁日記』を読んだことはありますか!!!
『キミのお金はどこに消えるのか』を読みましたか!!!
そうです、その作者の井上純一さんにインタビューできました!!興奮!!
井上純一(いのうえじゅんいち)さんとは
TRPGデザイナー。漫画家。玩具会社「銀十字社」代表取締役 代表作:スタンダードTRPGシリーズ(SRS)『アルシャードセイヴァー』、『エンゼルギア』、『天羅万象』他。最近は『中国嫁日記』のジンサン。
井上純一(希有馬)Twitterより引用
井上純一さんの『中国嫁日記』は中国人の月さん(ユエさん)との生活から日本と中国の違いがわかりとてもおもしろい漫画です!!中国人にもこの漫画はよく知られていて、実は私は大ファンなのですが……、
2018年8月に発売された『キミのお金はどこに消えるのか』は経済本。
経済の基本の話をわかりやすく漫画で解説しています!!読んだことがない方は今すぐ書店に行って『キミのお金はどこに消えるのか』通称「キミ金」を買ってからこの記事を読みましょう!!!!
漫画家は儲かる
――現在は漫画家の他に何かをお仕事をされていますか?
フィギュア作ってたの昔はね。今はもう漫画の方が儲かるんで月さんがやめろって言うんだ。(笑)無駄なお金を使うなって。
――漫画の方が儲かるんですか?
そうですね。まあ、フィギュア業界は特にこれから先はきつくなりますよね。消費税が上がるんです。あれはフィギュア業界にものすごい影響があるんですよ。前上がった時はとんでもないことになった。8%に上がった時は業界がなくなるかってくらい大打撃だった。そのあとは世界が違うんですよ。でもフィギュアやってる人でそこまで真剣に考えている人がいるかどうか。みんなね、起こるまでどう考えてもそれが起こるのに、起こるまではわからないんですよ。みんな関係ないと思ってるんですよ。消費税が少し上がるくらいは。
経済とフィギュアの関係
――フィギュアを作るのには莫大なお金が動くのではないでしょうか?
そうそう、だから消費税がとんでもないんだよ。あと、純粋に売れなくなる。つまり、3%、5%から8%に上がると、世界が違うくらいにみんな買わなくなるんですよ。今までフィギュアを買ってた人が2000円とか3000円プラスされるってだけで途端に買わなくなるんですよ。そんなの小さい数字じゃないかって思うけどそんなことはない。前はそれで大打撃を受けたんだ。今回も受けるだろう。軽減税率が適用されるわけがないので、フィギュアに。そういう見越しもあって、この商売は将来的にきついと。
――これからは漫画一本にしていかれるんですね。
漫画家が一番儲かる。よく、クリエイター論とかで気がつくと漫画家になってたとかそういう綺麗事言う人いますけども、漫画家が一番儲かりますよ。なぜなら、資本がいらないから。描けば、売れればいい。漫画以上に儲かるものはない。売れればですけどね。フィギュアもそう。最初の一撃を食らわしたやつが最終的には最大のシェアを握る。まあ経済の基本ですよね。で、そいつが勝つっていう。僕のフィギュアの会社は消える方。強いやつはシェアを握り続けるけど、弱い人はそれに入れないんですね。企業ってのは常にそうですよ。小さい会社が生き残るには頭を使わなきゃならない。だから僕にはできない。どうにかして儲かる道を見つけなければいけないんですよ。だから辞めたのね。純粋に言うとお金にならないからね。
学生時代
ゲームとイラストのアルバイト
――18歳から22歳くらいまではどんなことをやられていましたか?
テーブルトークRPGていうのを作っていたんですよ。今はクトゥルフの呼び声とか、COCコールオブクトゥールとか。昔は知名度がなかった。みんなが知るようになったのはニコ動でその実況がされたから。それ以前はインターネットもない20何年前に知ってる人がいたら奇跡ぐらい。それを僕は世界で一番面白いゲームだと思っていて、どうにかしてものすごいメジャーにしてやろうと思って頑張ってたけど、ならなかったですね。で、大学に行くのを辞めたんですよ。
――大学を辞めちゃったんですか!?
そう。4年大学行ってるんですよ。1年をずっと繰り返してたので。だって授業に出ないんですもん。最後の1年は授業は1回しか出ませんでした。もう辞めるつもりでいたので。僕が大学に行った理由は、東京に出て来たかったから。
――就職や将来が不安ではありませんでしたか?
そうですね。あの僕の時はバブルの終わりなのか。僕の1年前はすごかったです。とにかく雇用がたくさんありました。でも僕が4年留年し続けるうちに世界が変わってしまって。
だから大学は留年している間はずっとゲームを作っていました。あとはテレビゲームのビジュアルをやってたんです。それと、ポリゴンピクチャーって知ってますか?今アニメ関係だと結構3DCGで有名な会社なんですけど、22歳ころはアルバイトでそこにいました。
――イラストのアルバイトを掛け持ちしていたんですね。
昔から絵が描けたんで。それはね、もうどうしようもなかったです。きれいごとじゃなくて、本当に、絵はずっと小さい頃からただもう描けました。受験の時に練習したくらいで、それ以外はほとんど練習したことがありませんでした。
小学生の頃から友達に小さい漫画を描いて、ノートを切り取って小さい漫画を作って配っていました。漫画でコミュニケーションをとるのは昔からやっていたことですね。
戦争で経済が悪くなる
――日中や世界の経済についてどうお考えですか?
日中は仲良くしたほうが良いですよ。世界というのは、経済状態を良くしようとするためには戦争なんて起こらないほうが良いんですよ。基本的には戦争が起こるとみんな経済状態が悪くなる、不景気になる。好景気になるところもあるけど、全体的に見ると人類は不幸に近くなる。経済状態を良くするにはどうすれば良いかというと、まずは関税をかけないこと。みんなでニコニコと流通を円滑に進めるように、全員が平和でいること、一番良いのは貧乏人がもっと金持ちになること。GDPがあがるボーナスとして一番良いのは、実は農民が都会に出ることなんですよ、これをやると途端にGDPがはじけ上がる。これはいわゆる発展途上国がGDPをあげる、先進国の仲間入りをするときに与えられるボーナスみたいなもので、要は都会にでるだけで消費が増えてGDPがあがるんですよ。つまり豊かになる。だから貧乏人がなるべく多く救われ、彼らがカネを使うようになった瞬間世界は豊かになるんですよ。
――みんながお金を使うようになる、ということですね。
経済状態が良くなるということは、大抵の場合においてみんなが幸せになるということで、そのためには戦争は起こらないほうが良いし貧困は根絶したほうが良い。あと医療はもっと充実させたほうが良い、みんなが長生きして人間が増えたほうが良い。そういうようにして、物事が良い方にまわるので地球が汚くなるとか資源が枯渇するっていうのも結局経済が乗り越える。
それは実際にゴミ問題を解決するのにもカネが必要だってことなんですよ。二酸化炭素濃度を下げるにも経済を縮小させたら二酸化炭素濃度が下がっていくかって言ったらそんなことはない。そんな暴論を言うんだったら人間を殺したほうが良いことになっちゃう。そうじゃなくて、みんなが豊かになることによって二酸化炭素どうしようっていう研究をする。極端な話、じゃあ宇宙出ていくかっていうのも含めて人間にとってはプラスなんです。
――選択肢がその分広がるってことですよね。
そう。それって価値観も広がるし、みんな幸せでしょ。だからよりみんながお金を儲けることを常に考え続けることが実は世界を豊かにする。トランプがやっていることは真逆。例えば関税をかけたでしょ、関税は税金ですよ。税金っていうのは中国から取るんじゃない、自国から取る。だから中国と取引している人から取る、そりゃあみんな反対しますよ。トランプが関税をかけると言った瞬間にアメリカの企業の多くが反対した。結局経済は全然良くなっていない。良くなってるとしたらラストベルトに住んでる人たちは溜飲が下がっただけ。つまり感情が満たされているだけですよ。だからそういうのが一番よくない。
『キミ金』を描くこと
――『キミ金』を描くうえでどんなことを重要視していますか?
消費税は悪だって言わないこと。消費税は悪だって言い方はほとんどですが、俺は実はそのことに対して悪だって言いきらない。なぜかと言うと『キミ金』に対して全体的に気を配っているのですが、敵を作らないように書いているんです。「○○は悪だ」って書いていない、例えば財務省は悪だ、現政権が悪だとは書いてない。
悪だっていうことをやるとそれは直接運動に結びつく。敵を作ると、どちらが正しいかという議論になっちゃうんですよ。敵を殴ると漫画として非常におもしろいけど、次は叩かれた方が反論する。それに対して俺のほうが正しいって長い説明をしなきゃならない。そうすると漫画がおもしろくなくなるんです。
何が正しいかは状況によって変わるのでそんなことをしちゃいけない、今この瞬間にある問題を取り上げてそれをその場その場で解決していくしかない。これを信じていれば全て上手くいくっていうのはない。キミ金で言いたいのはそれ。
――確かに、『キミ金』では何かを悪だと言いきるシーンはないですね。
経済って言うのは正解がないんです。これはケインズが実際に言ってることなんですけど、何かをクリアすると必ず、必ず新しい問題が出てくる。だから無限に解決しない。経済学は学問じゃないっていう人もいるんです。なぜかというと、結論が出ないから。これさえ守っていればうまくいくということなんてない。
今のところデフレの世界で増税すると大変なことが起こるっているのは常識。そこを回避する。そこで何か問題が起きたらそのとき解決する。それでやってくしかない。日本は20年間間違ったことをしてる。もっと良い選択はあるべきだと僕は言い続けてる。だから手遅れになる前にみんなが消費税に反対してほしいなあと思う。でも誰が悪い、と言い始めるととたんにそれが運動になって、原理主義化して最後敵がいなくなるまで攻撃する。人生においてもプラスにならないですよ。誰が悪いって言った瞬間に人生の幅が狭くなる、もっと柔軟に考えたほうがいい。
つまりなるべくみんなが幸せになる道をぼんやりと考えていったほうがいいっていう。この世に悪はいないと思った方がいい。経済学は特にそうですよ。悪だと思ったことがいきなり価値を持ったりする。お金っていうのはそれくらいいい加減なものなんですよ。
――経済をぼんやりと考えるのは、新鮮な視点です。
何が正しくて何が悪いかは自分の眼で見極めなければならない。俺は、もっと極端で、正しいってことをもっといい加減に考えること。ゆるく考えておいたほうが世界は豊かになるし、みんなが幸せだといいなーのくらいの気持ちでいたほうがいいと思っている。
特に最近は不況なので敵を発見する思想になだれ込みやすいけど、やめたほうがいい。みんなぼんやりと生きたほうがいい。そのうえで、『キミ金』はそんな風にしてぼんやりと、月さんでもわかるようにして、それは良くないかもなー、増税するとみんな困るよね、的なゆるやかな世界革命でも起こらねえかなって。みんなゆるやかに選挙に行こうって(笑)。みんなそうやって生きていったほうが楽です。
――経済は難しく考えなきゃいけないと思っていましたが、そうではないんですね。
そうそう。ゆるやかな考え方ね。ネトウヨとかになるのは楽だからやってるんです、それって誰かを見下すことによって生きてる実感が得られるし、前に進んでる気になる。でもあれは人を不幸にする。やめたほうがいい。もっとゆるやかに考えたほうがいいですよ。
あと日本は大丈夫、ってそんな感じかな。
経済をぼんやりと考えること、幸せをゆるやかな考えで捉えること、今までにはない視点で新しく感じました。私たちの今やこれからの将来をどうしたいのか考えることはどんな意味を持つのか改めて認識できました。
みんな『キミ金』と『中国嫁日記』を読もう。
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