「おはようございます」
その声に軽く会釈をして、上智大学の門をくぐる。
気分が良い日はちゃんと届く声で「おはようございます」と返す。
通勤通学ラッシュを耐えた後。苦痛でしかない1限の前。
その挨拶を聞くと「まぁ、ちょっと頑張ってみっか」って思う。
ーー警備員さん。あなたは一体何者?
ということで今回はインタビュー企画「上智仕事人」第一弾!(次回未定)
上智大学構内をいつも警備してくださっている警備員のALSOKの湯田さんにインタビューしました!
誰かのためになる仕事をしたいと思った
ーー早速ですが、警備員になられたきっかけは何だったのでしょうか。
湯田さん:社会において、誰かのためになることだったり、役に立つ仕事をしたいと思ったのが理由です。人の生命や財産を守るという仕事が魅力的でずっと警備員を続けています。
ーー上智大学に勤められる以前はどこか別の場所で警備をしていたのですか?
湯田さん:18歳のときにこの会社に入社して、今43歳なんですけど、上智さんに来たのはもう約5年前か……。そう、前は大きいテナントビルにずっと勤務していました。
ーーなるほど。ビルから上智大学に来られたのですね。
湯田さん:そうですね、私たちは企業さんだったりイベントの警備もしますが、学校っていうのは私たちの会社ではここ(上智)しかなくて。
ーーそうなんですね!
湯田さん:そうなんですよ!たまたま上智さんのお話が来たときに私も興味があって勤務することになりました。
守る対象が多様。だから、やりがいがある。
ーー上智の警備のお仕事とビルの警備の仕事には違いがありますか?
湯田さん:うーん、そうですね……大学だと学生さんを守るときもあるし、教職員さんを守るときもあるし、神父さんたちもっていう、他の場所と違って対応するケースがたくさんあります。だから、すごいやりがいを感じます。
ーー確かに、神父さんがいる場所って他になかなかないですもんね。
湯田さん:そうなんですよ。ここにしかない守る対象がたくさんあるので、そこは違うのかな。例えば、セキュリティのレベルが突然グンって上がったり。ローマ教皇様が来たときは突然誰も入れなくなるようなレベルのセキュリティで、警察も多くいました。そういった経験ができる場所はここしかないんじゃないかなと思います。
鍵開けから始まる1日
ーー普段はどのようなスケジュールで仕事をしているのですか?
湯田さん:私たちは日勤と夜勤の交代制でやっていまして、日勤の日に夜勤があれば24時間になるときもあります。
ーー1日24時間ぶっ通しで……!
湯田さん:そういう感じです(笑)。日勤は朝8時から17時までで、夜勤が17時から翌朝8時です。
学生さんの授業が始まる時間に合わせているところはあるのですが。授業が始まる前の朝8時に全教室の鍵を開けたりとか。
ーーえ! 教室の鍵も警備員さんが……!
湯田さん:そうそう(笑)。
ーー鍵を開けて、1日がスタート……
湯田さん:そうですね(笑)。鍵を開けてスタート、そして夜締めてって。
ーー他に普段の業務としては何がありますか?
湯田さん:外部の方の案内もそうですし、これから入学を考えている方も毎日いらっしゃいますし、お客様への対応が多いですね。
ーー「どこに何がありますか」などの道案内とかでしょうか?
湯田さん:そうですね。私自身、大学に通ってないので、大学の仕組みがよくわからない状態でスタートしました。なので、構内の大学生を見て「こう案内した方が良いのかな」など探りながらやっていきました。
何を求めて我々に頼っているのか察知して最善の対応を
ーー業務の中で心がけていらっしゃることはありますか?
湯田さん:多目的、不特定多数、多種多様な方々が訪れる場所なので、相手が何を求めて我々に頼っていらっしゃるのか、会話ないし動作などで察知して、それぞれに合った最善の対応ができるように心掛けています。日本人のだけでなく外国の方もってところは、これもまたここでしか経験できない(笑)。
ーーそれも、いろんな国からの方がいますよね。
湯田さん:そうですね、英語だけじゃないときもありましたね……。
正直、学生さんに頼ったときもあったんです。英語で対応が難しかったときは。私たちより学生さんの方が喋れる場合もあるので。何度か助けてもらったことがあります。みなさん「どうしたんだろう」って足を止めてくれるんですよ。「なんか困ってるのかな」って思ってくれる人たちがいっぱいいるので、ちょっと頼ってしまうときはあります(笑)。
僕らより大人じゃんって思うときがある
ーー言語を通して学生との交流があったりするのですね!
湯田さん:そうかもですね!
ーー他に学生と関わったエピソードなどありますか?
湯田さん:多分ソフィア祭の準備ときだったと思うんですけど、救急車が入ってくるという状況になったんですよ。それで我々は通常、救急車の動線確保して、患者さんを乗せて出講するまで安全確保っていう対応をするんですけど。そのときに実行委員の人たちがわっと集まってきて「僕らに何かできることありますか」って声をかけてくれたんです。ま、できること特にないんですけど(笑)。すごく頼りがいを感じました。
やっぱすごいなと思って。さすが上智生だなと。
大変なことは「やりがい」と捉える
ーーさまざまな業務をする中で大変なことはありますか?
湯田さん:人の命や財産を守る仕事なので、大変なことは考えてしまえばたくさんあるんですけど、私はそうは思わない。「やりがい」として考えていて。
ーーポジティブですね……!
湯田さん:自分のため、人のためになると思って仕事に就いているので、大変って思ったら何も出来なくなってしまうかなって。
ーー私たちにも刺さる言葉ですね!
湯田さん:今まであまり後ろを見ないようにしていて。昨日より明日って。
警備員さんから見た上智大生の印象
ーー実際に上智大生の様子を見ていて受ける印象などありますか?
湯田さん:すごい良い印象を持っています。本当ですよ(笑)。
みんな目を見て挨拶してくれたり、話してくれたりするので、とても印象が良いです。
ーー警備員さんの爽やかな挨拶の秘訣などありますか?
湯田さん:えぇ、爽やかですかね(笑)。そう言ってもらえるとありがたいです。
ーー挨拶しようっていう決まりとかがあるのですか?
湯田さん:いや、特に取り決めはしていなくて。さっき言った通り、大学の警備はここでしかしていないので。企業さんでの警備だと「おはようございます」とか「こんにちは」っていう挨拶はしないです。「お疲れ様です」とかが主流の挨拶なんですけど、探り探りやっていった結果がこういうことになっていると。
ーーいつの間にか挨拶するようになったということですか?
そうなんです。私たちも学生以来なんです。学校での挨拶で「おはようございます」って言うのは。
ーー周りのみんなとかで「警備員さん、挨拶してくださるよね」みたいな話をたまにします。なので、探り探りやったものが良い結果に繋がってると思います!
湯田さん:それは多分みなさんがちゃんと返してくれるから、私たちも気持ちよく返せてるのだと思います!
上智大生へメッセージ
ーー最後に上智大生へメッセージをお願いします!
湯田さん:とても広い場所なので私たちを見かけることは入る時・帰る時くらいしかないかもしれないのですが、困ったことがあったらなんでも頼りにしてください!
お話した通り、私もとても良い雰囲気の環境の場所で仕事ができているので、これからもみなさんのために日々努力して、もっと良いサービスが提供できたらと思っています。
インタビューを終えて……
警備員さんの警備への思いが伝わってきました。明日からもっと大きな声で挨拶しようと思います! ありがとうございました!そして、いつもありがとうございます!
私たちが安心して学生生活を送れるのは、警備員さんのおかげなんだと改めて分かりました!
どんな思いで仕事をされているのかが分かって、ますます尊敬しました。ありがとうございました!
インタビュー:castle
撮影・執筆:わんり
この記事を応援しよう!
「スキ!」を押すとこの記事を書いたわんりが喜びます!