アイルランドが独立へと動いた日… 『1916年イースター蜂起』上映会が上智大学で開催

10月20日、上智大学四谷キャンパスの中央図書館 9階921会議室にて、在日アイルランド商工会議所及びノートルダム大学同窓会が主催するイベント「『1916年イースター蜂起』上映会」が開催される。

アイルランド国内の世論を一気に動かし、イギリスからの独立を目指す大きなきっかけとなった『イースター蜂起』から今年でちょうど100周年。それを記念して開催される当イベントは、普段あまり我々の生活には馴染みのないアイルランドという国全体について学ぶ絶好の機会であると言えよう。…

 

でも、恥ずかしながら、正直アイルランドについて知ってることといえば、首都がダブリンってこととロビー・キーンくらい。これじゃイベントの紹介なんてできるわけない!ってことで、上智からも程近い半蔵門にあるアイルランド大使館に行って、勉強のためにお話を伺ってきました。

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取材に協力してくださったアイルランド大使館の方々と両端の我々。画面左:秋吉 / 画面右: / 写真:高橋

民衆の心に深く刻み込まれたイースターの屈辱 敗北が生んだ国民の団結

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蜂起当日アイルランド義勇軍指導者パトリック・ピアースによって読み上げられた共和国樹立宣言

「アイルランド独立の夜明け100周年企画」として開催される今回のイベントだが、実はこの『イースター蜂起』という出来事、直接アイルランド独立を引き起こしたわけではない。勇気ある民族主義者による蜂起はすぐさまイギリス軍により鎮圧され、実際にアイルランドがイギリスからの独立を果たすのはこの6年後の1922年のことである。

 

しかし蜂起から100周年を迎えた今年、アイルランド国内はもちろん世界中に散らばったアイルランド系移民の人々が中心となって、日本まで含んだ世界各地でアニバーサリーのイベントが行われている(当イベントで上映されるドキュメンタリー映画もアイルランドとの深い関わりを持つアメリカのノートルダム大学が製作したもの)。

あくまで独立の「きっかけ」に過ぎない『イースター蜂起』は、それでもアイルランドにとって非常に大きな意味を持つ、まさに歴史のターニングポイントと言うべき出来事なのだ。

 

その詳しい内実についてはここでダラダラと説明するよりも、実際に当日映画を見てもらった方がわかりやすいだろう。

なぜ当初は一般の民衆の支持すら得られなかったような無謀以外の何物でもない戦いが、100年後の今、アイルランド独立の歴史の中で最もシンボリックな出来事の1つとして語られるようになったのか。

当時国内での独立に向けた気運がそれほど高まっていなかった中で、彼らの無残な敗北がもたらしたものはいったいなんだったのか。

是非、10月20日は授業後も少し大学に残って、この答えを確かめてみてほしい。参加費は無料だ。

 

もう一度書くが、参加費は無料だ。

 

10月20日のL-921会議室には、きっと今、検索して調べるよりもちょっと素敵な、新たな知識との出会いがあるはずだ。

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『1916年イースター蜂起』上映会
2016年10月20日(木) 18:30~20:45 (開場 18:00)
上智大学四谷キャンパス 中央図書館9階921会議室
(9月30日追記 教室が変更になりました)

 

もっとアイルランド

せっかくなので、アイルランドという国自体についてももう少し勉強しておこう。

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日愛国交関係樹立60周年記念ロゴ

 

来年、日本とアイルランドは外交関係樹立60周年の節目を迎える。案外短いように思えるが、1922年にイギリス支配からの独立を果たした後もイギリス連邦の中に所属していたアイルランドが完全な国家としての独立を果たすのは1949年のこと。その8年後、イギリスに駐在していた両国大使間でのやり取りをきっかけに、晴れて外交関係が樹立された。

そのため来年は様々な記念行事が行われる予定だそうで、スポーツや音楽など各分野でアイルランドという国を身近に感じることができるだろう。

 

しかし、アイルランドと日本の関係を取り持った第一人者といえば、19世紀後半に来日した文学者Lafcadio Hearn、またの名を小泉八雲の名前が挙げられる。アイルランド人とギリシャ人のハーフとして生まれ、後年日本に帰化した彼は、日本各地を転々としながら数々の名作を残すとともに、外国に向けた日本文化発信者としても多大な功績を残した。

彼をはじめとして、アイルランドはノーベル文学賞受賞者を4人輩出するなど、優れた文学の歴史を持つ国であることで知られている。

20世紀を代表する作家の1人で、代表作に「ユリシーズ」などがあるJames Joyceや、「ガリヴァー旅行記」などで知られるJonathan Swift、それぞれ1923年、1969年のノーベル文学賞を受賞しているW.B.YeatsとSamuel Beckettなど、アイルランド出身の名文学者は枚挙に暇がない。

 

またもう1つの伝統的な文化がアイルランド音楽である。「リバーダンス」などに代表されるアイリッシュダンスと合わさったトラディショナル・ミュージックは、日本でも非常に人気の高いアイルランドの文化だ。

1年間で日本からの渡航者はおよそ2万人、上智大学からはダブリン大学への交換留学も可能である。都心部では訛りの薄い英語話者が多く、その上他の英語圏の国よりも日本人の数が少ないため、英語学習という意味では理想的な環境だという。

何といってもギネスビールの本場はこの国。魅力いっぱいのアイルランドのこと、このイベントを通してもっと興味持ってみちゃう?

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アイルランド最高峰 キャラントゥール山

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投稿者: Kei Akiyoshi

上智大学の家長昭博
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